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静岡市、生活保護受給者ら3,950人分の非常用個人情報を電車に置き忘れ — 一部にマイナンバーや既往歴、車庫で回収

項目内容
発生日2025年12月2日8時ごろ(置き忘れ)/同日11時45分ごろ(職員が気づく)/12月3日(回収)
公表日2025年12月16日
対象組織・業界静岡市(担当部署は公表されていない/公共・非営利)
影響件数生活保護受給者や親族、民生委員など3,950人分の氏名、住所、電話番号。一部に生活保護受給者のマイナンバーや既往歴なども含まれる
攻撃手法攻撃なし。職員が電車を降車する際、車内の荷物用フックにかけていた鞄を資料ごと置き忘れた
情報源Security NEXT(2025年12月16日)

静岡市は2025年12月16日、職員が電車を降車する際、車内に資料を鞄ごと置き忘れたと公表しました。

資料には、生活保護受給者や親族、民生委員など3,950人分の氏名、住所、電話番号が記載されており、一部に生活保護受給者のマイナンバーや既往歴なども含まれるとされています。

置き忘れは2025年12月2日8時ごろで、職員が紛失に気づいたのは同日11時45分ごろです。終点だったため、降車後に電車はそのまま車庫に入り、交通機関の職員が落とし物として鞄を回収しました。返却は翌3日です。

なお、交通機関の職員2人が中身を確認した際に資料を目にしていたとされています。同市では個人情報は携帯して体から離さないルールとなっていましたが、鞄を荷物用フックにかけていたことが原因とされています。

  • 2025年12月2日8時ごろ: 職員が電車を降車する際、荷物用フックにかけていた鞄を資料ごと車内に置き忘れる
  • 同日: 終点だったため電車はそのまま車庫へ。交通機関の職員が落とし物として鞄を回収(職員2人が中身を確認した際に資料を目にしている)
  • 同日11時45分ごろ: 職員が紛失に気づく(置き忘れから約3時間45分後)
  • 2025年12月3日: 鞄が返却される
  • 2025年12月16日: 静岡市が公表

判明している事実: 同市では個人情報は携帯して体から離さないルールとなっていましたが、職員は鞄を荷物用フックにかけていました。持ち出しの目的、資料が「非常用」とされる運用の詳細、上位者の承認の有無は公表されていません。

「非常用個人情報」という位置づけからは、災害時などに安否確認や支援が必要な対象者へ到達するための名簿であったことが読み取れます。生活保護受給者、その親族、民生委員という構成は、支援の連絡経路をまとめた台帳の性質を持ちます。

このような資料は、システムが使えない状況で参照することを想定して紙で保持されます。紙であることが目的であり、電子化すれば用途を満たさないという構造があるため、持ち出しを一律に禁止できません。だからこそ「体から離さない」という運用ルールが置かれていたと考えられます。

3時間45分後に気づいたという経過は、降車後すぐに資料を使う予定がなかったことを示唆します。持ち出しの前後で所在を確認する手順があれば、気づくまでの時間は短縮できたと考えられます。

1. 「体から離さない」というルールは、離せる状態があれば破られる

Section titled “1. 「体から離さない」というルールは、離せる状態があれば破られる”

ルールは存在していました。それでも鞄はフックにかけられました。電車内でフックに荷物をかけることは、日常のごく自然な行動です。ルールが行動を変えるには、その行動が発生する具体的な場面まで想定されていなければなりません。ショルダーストラップの使用を義務づける、着席時は膝上に置く——ルールを場面に落とすことが必要です。

2. 非常用の名簿は、平時に持ち出す必要があるかを問い直す

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非常時に紙で参照する必要があるという要件は正当です。しかしそれは「平時に職員が持ち歩く」という運用を必然にはしません。保管場所を定めて施錠管理し、非常時にのみ持ち出す運用であれば、この事故は起こりません。持ち出しの頻度を業務要件から逆算する必要があります。

3. マイナンバーと既往歴を、同じ名簿に載せる必要性を検証する

Section titled “3. マイナンバーと既往歴を、同じ名簿に載せる必要性を検証する”

名簿の主目的は連絡先の把握です。そこにマイナンバーや既往歴が含まれることで、事故時の影響の性質が大きく変わります。非常時の安否確認と支援に必要な項目まで絞れば、同じ紛失が起きても結果は違います。

ヤグラの視点 — 部門別のリアリティ:この3,950人分は、他の3,950人分と同じではない

Section titled “ヤグラの視点 — 部門別のリアリティ:この3,950人分は、他の3,950人分と同じではない”

失われたのは3,950人分の氏名・住所・電話番号です。件数だけを見れば、企業の顧客名簿の漏えいと変わりません。しかし対象は生活保護受給者とその親族、民生委員であり、一部にはマイナンバーと既往歴が含まれます。この名簿は、載っているという事実そのものがその人の状況を示します。

生活保護の受給は、本人が周囲に知られたくない情報である場合があります。既往歴は要配慮個人情報にあたり、マイナンバーは他の手続きに接続し得る識別子です。同じ「3,950件の個人情報」という数え方では、この差はまったく表現されません。そして今回、交通機関の職員2人が落とし物の確認のために中身を目にしています。悪意のない、業務上必要な確認行為です。それでも、その2人はこの名簿が何であるかを見ました。

情報の重さが部門ごとに違うということは、扱いのルールと教育も部門ごとに設計する必要があるということです。全庁一律の「個人情報は体から離さない」という周知は、どの部署にも当てはまる代わりに、電車のフックに鞄をかける瞬間には届きませんでした。この名簿が外に出たときに、載っている一人一人に何が起こるのか——それを福祉部門の言葉で共有することが、抽象的なルールより行動を変えます。部門や役割に応じたリアリティのある教育設計が求められるのは、この点においてです(→ ヤグラ アウェアネス)。

  • 対象者への通知状況
  • 非常用名簿の保管・持ち出し運用の見直しを含む再発防止策の公表内容
  • 名簿に含める項目(マイナンバー・既往歴)の見直し状況
日時内容
2026-08-122025年12月16日の公表内容をもとにアーカイブ記事として作成