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愛知労働局、育児休業取得者の氏名を含む行政文書ファイルが所在不明 — 庁舎移転と書架移動の繰り返しで紛失か

項目内容
発生日特定されていない。文書の決裁日は2020年7月2日、所在不明が判明したのは2025年9月24日
公表日2025年11月28日
対象組織・業界愛知労働局(厚生労働省の地方支分部局/公共・非営利)
影響件数公表されていない。2015年4月1日から2020年10月31日までに育児休業を取得した労働者の氏名が対象
攻撃手法攻撃なし。庁舎移転や書架の満杯に伴うファイル移動の過程での紙文書の紛失
情報源Security NEXT(2025年11月28日)

愛知労働局は2025年11月28日、個人情報を含む行政文書ファイルが所在不明になっていると公表しました。

対象となったのは、次世代育成支援対策推進法に基づく基準適合認定事業主の決裁書類一式です。文書には、2015年4月1日から2020年10月31日までに育児休業を取得した労働者の氏名が含まれています。件数は公表されていません。

決裁日は2020年7月2日で、所在不明が判明したのは2025年9月24日です。同局は、庁舎を移転した際や、書架が満杯となるたびに複数の施設間でファイルを移動させており、その過程で紛失した可能性が高いとしています。

  • 2015年4月1日〜2020年10月31日: 対象となる労働者が育児休業を取得(文書に記載された期間)
  • 2020年7月2日: 当該文書の決裁
  • 決裁後: 庁舎の移転、および書架が満杯になるたびのファイル移動が複数回発生
  • 2025年9月24日: 文書が所在不明であることが判明
  • 2025年11月28日: 愛知労働局が公表

判明している事実: 庁舎を移転した際や、書架が満杯となるたびに複数の施設間でファイルを移動させており、その過程で紛失した可能性が高いと公表されています。紛失した時期、移動の回数、移動時の記録の有無は公表されていません。

原因が「移動の過程」に絞り込まれている一方で紛失時期を特定できていないことは、ファイルの所在を移動のたびに記録する運用がなかったことを示唆します。移動の記録が残っていれば、どの移動の前後で失われたかを追跡できるはずです。

「書架が満杯となるたびに」という記述は、保管容量の限界が移動の引き金になっていたことを示しています。文書量が増え続ける一方で保管場所が増えない状態では、移動は計画的な整理ではなく場所の確保のための応急処置になります。この状況では、移動する対象の選定も配置先の記録も後回しになりやすくなります。

判明が2025年9月であることについては、何らかの照会や監査で文書を探した際に不在が発覚したものと考えられます。5年間、誰も参照しなかったために不在に気づく機会がなかったという構造です。

1. 紙文書の所在は、移動のたびに記録しなければ追跡できない

Section titled “1. 紙文書の所在は、移動のたびに記録しなければ追跡できない”

この事案では原因が「移動の過程」と推定されているにもかかわらず、紛失した時期を特定できていません。移動の記録がないことが、原因の特定と影響範囲の確定の両方を妨げています。保管場所を変えた事実と対象を記録する運用は、電子データのアクセスログに相当する最小限の統制です。

2. 保管容量の限界を、廃棄・電子化の判断につなげる

Section titled “2. 保管容量の限界を、廃棄・電子化の判断につなげる”

書架が満杯になるたびに移動が発生していたということは、保管量が保管能力を超え続けていたことを意味します。この状態では、移動は避けられません。保存期間を過ぎた文書の廃棄、参照頻度の低い文書の電子化のいずれかで総量を減らさない限り、同じ経路で再発します。

3. 長期保存文書は、定期的に所在を確認する対象に入れる

Section titled “3. 長期保存文書は、定期的に所在を確認する対象に入れる”

5年間参照されなかったことが、不在に気づく機会を奪いました。参照されない文書ほど、能動的な棚卸しの対象にする必要があります。保存期間の長い文書について、年に一度でも所在を突き合わせる運用があれば、紛失の発生時期をはるかに狭い範囲に絞り込めます。

ヤグラの視点 — 影響範囲の特定:件数を答えられないことが、この事案の中身である

Section titled “ヤグラの視点 — 影響範囲の特定:件数を答えられないことが、この事案の中身である”

この事案で公表されていない項目は、紛失の時期、移動の回数、そして対象となった労働者の人数です。文書に含まれるのは「2015年4月1日から2020年10月31日までに育児休業を取得した労働者の氏名」——期間は特定できているのに、その期間に何人分の氏名が記載されていたかが示されていません。

これは公表姿勢の問題ではなく、文書がなくなった時点で、その中身を確認する手段も一緒になくなったことの帰結です。紙の文書は、それ自体が唯一の記録であることが多く、失われれば内容の目録は残りません。電子データの漏えいであれば、失われたのはコピーであって、元のデータから対象者リストを再構成できます。紙の紛失は「情報が出たかどうか分からない」だけでなく「何が出たのか分からない」という二重の不明を残します。

説明責任の観点から見ると、影響範囲を確定できない事案は、対象者への通知も再発防止策の設計も宙に浮きます。誰に謝るべきかが決まらないためです。「どこまでやられたか」を後から説明できる状態を先に作っておくこと——記録を残す作業の価値は、平常時ではなく、こうして何かを失った瞬間に初めて現れます。行政文書の管理台帳は、その最も原始的な形です。

  • 対象となった労働者の人数の特定
  • 紛失時期の絞り込みと、捜索の結果
  • 文書管理台帳の整備を含む再発防止策の公表内容
日時内容
2026-08-122025年11月28日の公表内容をもとにアーカイブ記事として作成