守口市、委託先で特定健康診査の受診票などが所在不明 — 健診結果を含む3人分、受渡しルールの徹底不足
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発生日 | 2025年11月5日(健診の実施日)/11月6日(委託先への引き渡し) |
| 公表日 | 2025年12月1日 |
| 対象組織・業界 | 大阪府守口市(公共・非営利)。委託先はパーソルビジネスプロセスデザイン |
| 影響件数 | 3人分。氏名、生年月日、年齢、性別、住所、電話番号、健診結果 |
| 攻撃手法 | 攻撃なし。委託事業者において書類の受渡しや保管などのルールが明確に徹底されていなかったことによる紙書類の所在不明 |
| 情報源 | Security NEXT(2025年12月1日) |
大阪府守口市は2025年12月1日、住民に関する特定健康診査の受診票や問診票などが所在不明となっていることを明らかにしました。
対象は3人分で、記載されていたのは氏名や生年月日、年齢、性別、住所、電話番号、健診結果です。健診は2025年11月5日に実施され、書類は翌11月6日に委託先へ引き渡されました。所在不明が判明したのは11月14日です。
原因は、委託事業者において、書類の受渡しや保管などのルールが明確に徹底されていなかったこととされています。委託先はデータ入力を担うパーソルビジネスプロセスデザインです。
同市は対象者へ報告と謝罪を行い、委託事業者にルールと業務過程の見直しを求めました。健診結果については、各医療機関と連絡を取り保管されていた受診データの再提供を受けたため、結果の通知などに影響はないとしています。
- 2025年11月5日: 特定健康診査を実施
- 2025年11月6日: 受診票・問診票などをデータ入力の委託先へ引き渡し
- 2025年11月14日: 書類3人分が所在不明であることが判明
- 判明後: 対象者へ報告・謝罪。各医療機関から受診データの再提供を受け、結果通知への影響を回避。委託事業者へルールと業務過程の見直しを要求
- 2025年12月1日: 守口市が公表
判明している事実: 委託事業者において、書類の受渡しや保管などのルールが明確に徹底されていなかったことが原因と公表されています。紛失した具体的な時点(受け取り時、保管中、入力作業中のいずれか)は公表されていません。
考えられる原因(推測)
Section titled “考えられる原因(推測)”引き渡しから判明までが8日間と短いことから、書類は委託先の作業工程のなかで失われた可能性が考えられます。受渡しの記録が枚数単位で照合されていれば、引き渡しの時点で不足が分かるはずです。それが8日後の発覚となった経緯は、入力作業を進める過程で対象者分のデータが揃わないことに気づいた——という流れと整合します。
「ルールが明確に徹底されていなかった」という表現は、ルールの不在ではなく、運用への落とし込みの不足を指していると読めます。健診の受診票は当日に大量に発生し、まとめて搬送される性質の書類です。個票単位の枚数管理を行わない限り、数枚の不足は工程のどこでも生じ得ます。
組織が学ぶべきこと
Section titled “組織が学ぶべきこと”1. 紙書類の受渡しは、枚数の照合を伴わなければ引き継ぎになっていない
Section titled “1. 紙書類の受渡しは、枚数の照合を伴わなければ引き継ぎになっていない”書類を渡した事実と、何枚渡したかを双方が記録して突き合わせる作業は別のものです。照合がなければ、紛失は「渡す前か後か」すら判定できません。受渡し時点の枚数照合は、委託業務における最小限の統制であり、責任分界を明確にする唯一の手段でもあります。
2. 委託契約には、保管方法と作業場所の条件まで書き込む
Section titled “2. 委託契約には、保管方法と作業場所の条件まで書き込む”「ルールが明確に徹底されていなかった」という原因は、委託元が委託先の運用を規定しきれていなかったことを意味します。個人情報を含む紙書類を扱う業務では、受け取りから廃棄までの各段階について、保管場所・持ち出しの可否・作業単位の管理方法を契約や仕様書のレベルで指定する必要があります。
3. 原本が失われても業務が続く経路を用意しておく
Section titled “3. 原本が失われても業務が続く経路を用意しておく”今回、結果通知への影響が回避できたのは、各医療機関に受診データが残っていたためです。原本を単一の経路に依存させない構成が、実務上の被害を抑えました。紙を扱う業務では、失われた場合に内容を再構成できる元データがどこにあるかを、あらかじめ把握しておくことが有効です。
ヤグラの視点 — 攻撃面の拡張:委託先に渡した瞬間、管理の届く範囲が終わっている
Section titled “ヤグラの視点 — 攻撃面の拡張:委託先に渡した瞬間、管理の届く範囲が終わっている”この事案で情報が失われたのは、市の庁舎ではなく委託先の作業工程のなかです。市が定めた管理規程も、市が導入した仕組みも、書類が委託先の手に渡った瞬間から直接は届きません。委託は業務を外に出す行為であり、同時に守る対象を自分の管理下の外に置く行為でもあります。
守るべき範囲を「自組織のネットワークと建物」で線引きすると、この事案は視界に入りません。実際に個人情報が置かれていた場所は、市の資産台帳にも、市のアクセス管理にも現れない委託先の机の上でした。攻撃面という言葉は外部からの侵入経路を指して使われますが、業務を委託した先の作業環境も、同じ意味で守るべき面の一部です。紙であるか電子であるか、侵入か紛失かは、この構造の上では二次的な違いにすぎません。
委託先を管理下に置く手段は、技術ではなく契約と検証です。受渡しの枚数照合、保管方法の指定、作業場所の条件——委託元が指定していないルールは、委託先で「徹底されていない」状態になります。今回、市が委託事業者に求めたのがルールと業務過程の見直しであった点は、この構造を正しく捉えた対応と言えます。委託を増やすほど、自分の管理が届く境界がどこにあるかを把握しておく必要が増します。
- 紛失した時点(受け取り時/保管中/作業中)の特定
- 委託事業者における受渡し・保管ルールの見直し内容
- 同種の委託業務における書類管理方法の点検結果
| 日時 | 内容 |
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| 2026-08-12 | 2025年12月1日の公表内容をもとにアーカイブ記事として作成 |