コンテンツにスキップ
← インシデント一覧に戻る

浜松市、委託先のイベント申込フォームで「前の回答を表示」から他人の申込情報が閲覧可能に — 103人分

項目内容
発生日2025年10月20日〜11月27日(閲覧可能だった期間)
公表日2025年12月12日
対象組織・業界浜松市(公共・非営利)。フォームを運営していたのは委託先のSBSプロモーション
影響件数103人分の氏名、電話番号、メールアドレス
攻撃手法攻撃なし。ウェブフォームの設定の不備により、送信完了画面の「前の回答を表示」から以前の申し込み情報が閲覧できる状態になっていた
情報源Security NEXT(2025年12月12日)

浜松市は2025年12月12日、委託先のSBSプロモーションが運営していたイベント申込フォームに設定の不備があったと公表しました。

対象となったのは、「プレコンフェスタ浜松2025」の来場者募集用フォームです。フォームの送信完了画面に表示される「前の回答を表示」をクリックすると、送信時点より以前の申し込み情報を閲覧できる状態になっていました。

閲覧可能だった期間は2025年10月20日から11月27日にかけてで、対象は103人分の氏名、電話番号、メールアドレスです。

委託先は申し込みフォームの設定を修正し、対象者および委託元である浜松市に対して経緯の説明と謝罪を行いました。

  • 2025年10月20日: 申込フォームの受付を開始。設定の不備により、送信完了画面の「前の回答を表示」から以前の申し込み情報が閲覧できる状態となる
  • 2025年11月27日: 閲覧可能な状態が続いた最終日
  • 発覚後: 委託先が申し込みフォームの設定を修正。対象者および浜松市へ経緯の説明と謝罪
  • 2025年12月12日: 浜松市が公表

判明している事実: ウェブフォームの設定に不備があり、送信完了画面の「前の回答を表示」から以前の申し込み情報が閲覧できる状態になっていたことが公表されています。使用されたフォームサービスの名称、不備の技術的な内容、発覚の契機は公表されていません。

「送信完了画面に表示される『前の回答を表示』」という記述は、汎用のフォーム作成サービスに標準で備わる機能を指していると考えられます。この種の機能は、回答者が自分の送信内容を後から確認できるようにするためのものですが、回答の閲覧範囲がフォーム全体に設定されている場合、他人の回答も見えてしまいます。

この設定は、フォームを作成する側が意図的に選ぶものではなく、既定値として有効になっている、あるいは別の設定項目と連動して有効になることが多い性質を持ちます。作成者の画面では自分の回答が正しく表示されるため、他人の回答まで見えることには気づきにくい構造です。

約5週間半にわたって状態が続いたことは、フォームを公開する前に、回答者の立場からアクセスして確認する工程がなかったことを示唆します。

1. フォームは公開前に、回答者の立場から一度送信して確認する

Section titled “1. フォームは公開前に、回答者の立場から一度送信して確認する”

作成者の画面では、この不備は見えません。実際に回答を送信し、送信完了画面から到達できる範囲を回答者の視点で確認する——この一手順があれば、5週間半の露出は生じませんでした。テスト送信は動作確認のためだけでなく、公開範囲の確認のために必要です。

2. 汎用フォームサービスの既定設定を、業務ごとに確認する

Section titled “2. 汎用フォームサービスの既定設定を、業務ごとに確認する”

今回の不備は、フォームサービスの機能設定に起因すると考えられます。既定値のまま使うと有効になる機能が、個人情報を扱う用途では不適切な場合があります。組織で使用を認めるフォームサービスについて、無効化すべき設定の一覧を用意しておくことが対策になります。

3. 委託先が使うツールと設定を、委託元が指定する

Section titled “3. 委託先が使うツールと設定を、委託元が指定する”

フォームを運営していたのは委託先です。委託元がツールや必須設定を指定していなければ、選定と設定は委託先の判断に委ねられます。個人情報を収集するフォームについては、使用するサービスと設定条件を仕様として渡す必要があります。

ヤグラの視点 — 攻撃面の拡張:申込フォームは、委託先の管理下にある個人情報の入口である

Section titled “ヤグラの視点 — 攻撃面の拡張:申込フォームは、委託先の管理下にある個人情報の入口である”

イベントの来場者募集という業務では、申込の受付が委託先に渡ります。委託元が用意するのは募集の要件であって、フォームの実装ではありません。結果として、市民103人分の氏名・電話番号・メールアドレスは、市のシステムではなく委託先が選んだフォームサービスの上に集まりました。市の情報システム部門の管理台帳にも、市のアクセス制御にも、この経路は現れません。

攻撃面という言葉は通常、外部から侵入され得るサーバや機器を指して使われます。しかし実際に個人情報が置かれる場所を数えると、委託先が業務のために立てたフォーム、共有した表計算ファイル、送受信したメール——自組織の外側にある要素が並びます。今回の事案では、侵入も脆弱性の悪用もありません。設定が既定値のままだったフォームが、5週間半にわたって他人の回答を見せていただけです。それでも情報の露出という結果は同じです。

委託を増やすほど、守るべき面は自分の管理が届かない場所へ広がります。そこを押さえる手段は技術ではなく、指定と検証です。どのサービスを使うか、どの設定を無効にするか、公開前に誰が回答者の立場から確認するか——委託元が指定していない項目は、委託先の既定値のまま運用されます。フォームを1つ立てるという小さな作業が、市民の個人情報の保管場所を1つ増やしているという認識が起点になります。

  • 使用されたフォームサービスと不備の技術的な内容
  • 実際に閲覧された件数の把握
  • 委託先が使用するフォームサービスと設定条件の指定を含む再発防止策の公表内容
日時内容
2026-08-122025年12月12日の公表内容をもとにアーカイブ記事として作成