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静岡県、県ウェブサイトの公開ファイルで本来非公開の氏名がマスキングされず掲載 — 複数部署で計200人分

項目内容
発生日公表されていない。2025年11月10日に沼津土木事務所の職員が気づいたことで判明
公表日2025年12月12日
対象組織・業界静岡県(沼津土木事務所を含む複数部署/公共・非営利)
影響件数合計200人分の氏名
攻撃手法攻撃なし。ウェブサイトで公開するファイルに対し、本来非公開とすべき個人情報のマスキング処理が実施されていなかった
情報源Security NEXT(2025年12月12日)

静岡県は2025年12月12日、県のウェブサイトで公開されているファイルに、本来非公開とすべき一部個人情報が、マスキング処理などが実施されず、そのまま掲載されていたと公表しました。

判明の契機は、2025年11月10日に沼津土木事務所の職員が、同県のウェブサイトで公開されているファイルに、用地補償契約者の相手方氏名がマスキング処理されず掲載されていることに気づいたことです。

この発見を起点に点検が行われ、複数部署にわたり合計200人分の氏名が誤って公開されていたことが確認されました。対象となったのは以下の情報です。

  • 用地補償契約者の相手方氏名
  • 担い手育成総合対策事業費補助金の対象者
  • 行政財産の貸付・使用許可対象者
  • 里親への委託前養育支援事業における里親
  • 違反建築物に関する行政指導対象者
  • 掲載された時期: 公表されていない
  • 2025年11月10日: 沼津土木事務所の職員が、県ウェブサイトの公開ファイルで用地補償契約者の相手方氏名がマスキング処理されていないことに気づく
  • 発見後: 点検により複数部署で計200人分の氏名の誤公開を確認
  • 2025年12月12日: 静岡県が公表

判明している事実: 公開したファイルに対し、本来非公開とすべき個人情報のマスキング処理などが実施されていなかったことです。掲載された時期、公開されていた期間、ダウンロードの状況、原因の分析および再発防止策は公表されていません。

対象が5種類の異なる業務にまたがっている点が、この事案の性格を示しています。一人の担当者の不注意ではなく、公開前のマスキング確認が組織的な手順として確立していなかったことを示唆します。

情報公開制度に基づく文書の公開では、原本から非公開部分を除いたうえで掲載します。この作業は業務ごとに担当部署が行うため、何を非公開とすべきかの判断も、実際にマスキングする作業も、部署ごとに分散します。共通の確認工程がなければ、判断の水準は部署ごとにばらつきます。

内容の性質にも注意が必要です。里親への委託前養育支援事業における里親、違反建築物に関する行政指導の対象者——これらは氏名が公開されるだけで、その人物の立場や状況が推測できる情報です。氏名という単一項目でありながら、掲載された文書の文脈がその人物について語ってしまう構造があります。

1. 公開前の非公開部分の確認を、部署に閉じた作業にしない

Section titled “1. 公開前の非公開部分の確認を、部署に閉じた作業にしない”

5つの業務で同時に不備が確認されたことは、部署ごとの判断に委ねる構造そのものに原因があることを示します。マスキングの判断基準と確認の工程を全庁で共通化し、公開の前に担当部署以外の目を通すことが、判断のばらつきを抑えます。

2. 「氏名だけ」の公開でも、文書の文脈が属性を語る

Section titled “2. 「氏名だけ」の公開でも、文書の文脈が属性を語る”

今回公開されたのは氏名です。しかし掲載された文書が里親支援や違反建築物の行政指導に関するものであれば、氏名が載っていること自体がその人物の立場を示します。マスキングの判断を「機微な項目が含まれるか」で行うと、この構造は見落とされます。文書の主題と氏名の組み合わせで判断する必要があります。

3. 職員が気づいたことを申告できる経路を保つ

Section titled “3. 職員が気づいたことを申告できる経路を保つ”

この事案の発見は、沼津土木事務所の職員が公開ファイルを見て気づいたことによります。自組織の公開物の誤りを職員が申告できる経路があったことが、200人分の把握につながりました。気づいた不備を報告することが評価される運用は、外部から指摘されるより先に問題を捉える唯一の手段です。

ヤグラの視点 — 攻撃者のいないインシデント:公開する作業そのものが、漏えいの経路になっている

Section titled “ヤグラの視点 — 攻撃者のいないインシデント:公開する作業そのものが、漏えいの経路になっている”

情報公開は、行政が能動的に行う正当な業務です。侵入もなく、脆弱性もなく、内部不正もありません。組織が自らの意思でファイルをウェブに掲載し、その掲載物に本来消すべき氏名が残っていた——起きたのはそれだけです。それでも200人分の氏名が、誰でも到達できる場所に置かれました。

このタイプの事案が検知しにくいのは、すべての操作が正常な記録として残るからです。不正なログインはなく、想定外のアクセスもなく、ファイルは意図どおりに公開されています。異常として拾える信号が存在しません。侵入を前提に組まれた監視の網には、最初から掛かりません。今回それでも判明したのは、職員が公開されているファイルを見て違和感を持ったからです。人の目が唯一の検知手段でした。

そして5つの業務で同時に見つかったという事実が、この事案の性質を決めています。個人の不注意ではなく、公開という業務に確認の工程が組み込まれていなかったということです。防ぐ手立ては、注意喚起ではなく工程の設計にあります。誰が何を消すべきかを判断し、担当部署以外がそれを検める——この一手順が業務のなかにあるかどうかで、結果が分かれます。攻撃者のいないインシデントに対しては、監視を厚くするより、間違えられる余地を業務から外すほうが確実に効きます。

  • 掲載されていた期間とダウンロード状況の把握
  • 対象者への通知状況
  • 全庁的なマスキング確認手順の整備を含む再発防止策の公表内容
日時内容
2026-08-122025年12月12日の公表内容をもとにアーカイブ記事として作成