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鹿児島県日置市、公開PDFの墨塗りが視覚上のみでコピー&ペーストで参照可能 — 2年以上公開され41件が対象

項目内容
発生日2023年9月13日(森林経営管理権集積計画の公開)/2024年4月18日(配分計画の公開)〜2025年10月24日(判明)
公表日2025年12月22日
対象組織・業界鹿児島県日置市(公共・非営利)
影響件数氏名、住所など41件
攻撃手法攻撃なし。PDFの墨塗り処理が視覚上のみで、ファイル内部にデータが残存しており、コピー&ペーストの操作によって参照できる状態だった
情報源Security NEXT(2025年12月22日)

鹿児島県日置市は2025年12月22日、市が公開していたファイル内に個人情報が含まれていたと公表しました。

視覚上は墨塗り処理が行われているものの、ファイル内部にデータが含まれており、コピー&ペーストの操作によって参照できる状態でした。

対象となったのは森林経営管理権集積計画(2023年9月13日公開)と配分計画(2024年4月18日公開)で、含まれていた個人情報は氏名、住所など41件です。判明は2025年10月24日で、最も古いものは公開から2年1か月が経過していました。

同市は対象となる関係者に説明と謝罪の書面を送付し、今後は個人情報をマスキング処理した上で一度印刷し、スキャンしてPDFデータを作成するとしています。

  • 2023年9月13日: 森林経営管理権集積計画を公開。墨塗り処理が視覚上のみで、内部データが残存
  • 2024年4月18日: 配分計画を公開。同様の状態
  • 2025年10月24日: 個人情報が参照可能な状態であることが判明(最初の公開から約2年1か月後)
  • 対応: 対象となる関係者へ説明と謝罪の書面を送付。今後は印刷・スキャンによるPDF作成に切り替え
  • 2025年12月22日: 日置市が公表

判明している事実: PDFの墨塗り処理が視覚上のみで、ファイル内部にデータが残存しており、コピー&ペーストの操作によって参照できる状態だったことです。判明の契機、公開期間中の閲覧・ダウンロード状況は公表されていません。

PDFの墨塗りで内部データが残る典型的な原因は、文字の上に黒い図形を重ねる方法で処理を行ったことです。文書作成ソフトやPDF編集ソフトで黒い四角形を描画すると、表示上は文字が見えなくなりますが、文字データそのものはファイル内に残ります。テキストを選択してコピーすれば、隠された文字がそのまま取り出せます。

この方法が選ばれやすいのは、操作が直感的で、結果が目で確認できるからです。黒く塗られた画面を見れば、処理が完了したように見えます。内部にデータが残っていることは、意図的にコピー操作を試さない限り分かりません。確認の手段と失敗の形が一致していないことが、この誤りの本質です。

2年以上にわたって状態が続いたことは、公開後に内容を検める工程がなかったことを示します。森林経営管理権集積計画のような計画書は、公開後に頻繁に参照される種類の文書ではありません。

1. 墨塗りは「図形を重ねる」ではなく「データを削除する」方法で行う

Section titled “1. 墨塗りは「図形を重ねる」ではなく「データを削除する」方法で行う”

黒い図形を重ねる方法では、内部データが残ります。PDF編集ソフトの墨消し(Redaction)機能はデータそのものを削除しますが、図形描画は削除しません。両者は画面上の結果が同じで、内部の結果が正反対です。使用する機能を業務手順で指定する必要があります。

2. 公開前に、コピー&ペーストを実際に試す

Section titled “2. 公開前に、コピー&ペーストを実際に試す”

目で見て確認しても、この誤りは見つかりません。墨塗り部分をマウスで選択してコピーし、テキストエディタに貼り付ける——この一手順で、2年以上の公開は避けられました。確認の方法を失敗の形に合わせる必要があります。

3. 印刷してスキャンする方法は、確実だが検索性を失う

Section titled “3. 印刷してスキャンする方法は、確実だが検索性を失う”

同市が採用した「印刷してスキャンしてPDF化」は、文字データを画像に変換するため内部データが残りません。確実性の高い方法ですが、文書内の検索やテキストの読み上げができなくなります。墨消し機能を正しく使えば両立できるため、業務の性質に応じて選ぶことになります。

ヤグラの視点 — 発見までの時間:2年1か月の公開を止めたのは、市の点検ではなかった

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この事案で公開されていたのは41件の氏名と住所です。件数は100件未満で、電話番号も含まれていません。それでも記録すべきなのは、状態が2023年9月13日から2025年10月24日まで、約2年1か月続いたという事実です。もう一方の配分計画も1年半にわたって公開されていました。

この長さは、公開後に内容を検める工程が存在しなかったことの直接的な結果です。森林経営管理権集積計画は、公開が制度上求められる文書であり、公開したあとに頻繁に見返される種類のものではありません。参照されない文書は、誤りが含まれていても誰も気づきません。そして墨塗りの不備は、画面を見ただけでは分からない形の誤りです。閲覧者が偶然テキストをコピーしない限り、外部から指摘される契機も生まれません。

設定不備による誤公開では、露出の長さが被害の総量を決めます。同じ不備が公開当日に見つかれば、影響を受ける可能性のある期間は1日です。2年1か月のあいだに何回ダウンロードされたかは、公表されていません。検知の役割を、公開後の監視ではなく公開前の確認工程に前倒しすること——墨塗り部分をコピーして貼り付けるという数十秒の作業が、この2年間と引き換えになるものでした。

本件は対象となる関係者への説明と謝罪が完了し、再発防止策(印刷・スキャンによるPDF作成)も公表されています。追加公表の予定は示されていません。

  • 参考: 公開期間中の閲覧・ダウンロード状況は公表されていません
日時内容
2026-08-122025年12月22日の公表内容をもとにアーカイブ記事として作成