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放送用映像機器メーカーの池上通信機(東京都大田区)、サーバ内の一部ファイルが暗号化 — 自社が保有していたとみられる情報がダークウェブのリークサイトに公開

項目内容
発生日公表されていません。端緒は2026年9月21日に外部から寄せられたサイバー攻撃の可能性に関する情報提供で、侵入の開始時期は明らかにされていません
公表日2026年9月24日(第1報)/2026年9月30日(第2報)/2026年10月2日(第3報)。いずれも適時開示
対象組織・業界池上通信機株式会社(東京都大田区池上/放送用テレビカメラ・モニター・映像伝送機器のほか業務用セキュリティカメラ、医療用カメラ等を製造。東証スタンダード・証券コード6771)
影響件数公表されていません。個人情報の漏えいの有無、漏えいした場合の対象件数、業務や生産への影響はいずれも明らかにされていません。同社が確認したとしているのは、一部サーバにおける不正アクセスが疑われる痕跡、当該サーバ内の一部ファイルの暗号化、および自社が保有していたと思われる情報がリークサイトに公開されている事実の3点です
攻撃手法侵入経路は公表されていません。同社はサーバ内の一部ファイルが暗号化されていたことを確認しており、攻撃者のリークサイトに情報が掲載されています。なお、ランサムウェアグループ「Qilin」が9月21日に自らのリークサイトへ同社の名称を掲載し、約66GB・106,288ファイルを取得したと主張していますが、これは攻撃者側の主張であり、同社はこの主張の内容を確認したとは公表していません
情報源池上通信機株式会社「当社に対するサイバー攻撃に関するお知らせ(第3報)」(2026年10月2日・適時開示/公式発表)、同(第2報・2026年9月30日の適時開示)、同(第3報の開示一覧・日経会社情報DIGITAL)、ScanNetSecurity(2026年10月5日)、ScanNetSecurity(2026年10月5日)、セキュリティ対策Lab(2026年9月24日)

池上通信機株式会社(東京都大田区池上/放送用テレビカメラ・映像伝送機器などの製造。東証スタンダード・証券コード6771)は2026年9月24日、同社に対するサイバー攻撃の可能性について公表しました。端緒は9月21日に外部から寄せられた情報提供で、同社はこれを受けて直ちに調査を開始したとしています。

その後の調査で、同社は一部のサーバに外部からの不正アクセスが疑われる痕跡を確認し、あわせて当該サーバ内の一部ファイルが暗号化されていることを確認しました。また、外部から提供された情報を精査したところ、その一部に同社の資料とみられる情報が含まれていることを把握しています。10月2日の第3報では、同社が保有していたと思われる情報がダークウェブ上の攻撃者のリークサイトに公開されていることを確認したと公表しました。

一方で、個人情報の漏えいの有無、漏えいした場合の対象件数、業務や生産への影響については、本記事の執筆時点でいずれも公表されていません。同社は外部専門機関と連携し、原因と影響範囲、情報漏えいの範囲について調査を進めるとともに、リークサイトに公開された情報の内容と範囲の確認・精査を続けているとしています。

なお、ランサムウェアグループ「Qilin」は9月21日に自らのリークサイトへ同社の名称を掲載し、約66GB・106,288ファイルを取得したと主張しています。ただしこれは攻撃者側の主張であり、同社はこの主張について内容を確認したとは公表していません。同社の公表文にも、攻撃したグループの名称は挙げられていません。

  • 2026年9月21日: 外部から同社に対するサイバー攻撃の可能性について情報提供があり、同社が直ちに調査を開始。同日、ランサムウェアグループ「Qilin」が自らのリークサイトに同社の名称を掲載し、約66GB・106,288ファイルの取得を主張(攻撃者側の主張)
  • 2026年9月24日: 第1報を適時開示で公表。社内の関係部門、外部専門機関、捜査機関と連携して調査を進める方針を示す
  • 2026年9月30日: 第2報を公表。一部サーバで外部からの不正アクセスが疑われる痕跡を確認するとともに、当該サーバ内の一部ファイルが暗号化されていることを確認。外部から提供された情報の一部に、同社の資料とみられる情報が含まれることを把握
  • 2026年10月2日: 第3報を公表。同社が保有していたと思われる情報がダークウェブ上の攻撃者のリークサイトに公開されていることを確認。公開された情報の内容と範囲の確認・精査を進めているとする

1. ファイルが暗号化される前の「大量の読み出し」を捉える

Section titled “1. ファイルが暗号化される前の「大量の読み出し」を捉える”

ランサムウェアの被害が目に見えるのは暗号化の段階ですが、攻撃者が情報を持ち出すのはその手前です。本件で攻撃者が主張している規模をそのまま受け取るなら、10万を超えるファイルが社外へ運び出されたことになります。これだけの量を一度に読み出す操作は、通常の業務ではまず発生しません。

そこで、ファイルサーバの読み出し量と宛先を記録し、平常時の水準と突き合わせておきます。見るのは「誰がどのアカウントで、どの共有フォルダから、どれだけのファイルを、どこへ送ったか」です。この差が出た時点で止められれば、暗号化までは防げなくても、公開される情報の量は変わります。

2. 自社の情報が外部に出ていないかを自分から確認する

Section titled “2. 自社の情報が外部に出ていないかを自分から確認する”

本件で同社が攻撃の可能性を知ったのは、外部から寄せられた情報提供でした。リークサイトへの掲載が始まったのも同じ9月21日です。攻撃者は被害組織に知らせるより先に、自分のサイトへ掲載して圧力をかけます。

リークサイトやダークウェブの掲載を定期的に確認する手段を持っておけば、取引先や報道から指摘されるより早く、自社の名前が挙がった事実をつかめます。社名が挙がった段階で調査を始められれば、公開された情報の中身を精査したうえで、取引先への連絡を自社の判断で先に出せるはずです。公表の順番を外部に握られずに済めば、取引先からの信頼も保ちやすくなります。

ヤグラの視点 — 侵害を知らせてきたのが外部だったという事実

Section titled “ヤグラの視点 — 侵害を知らせてきたのが外部だったという事実”

本件で最初に動いたのは、同社の監視ではなく外部からの情報提供でした。9月21日に情報提供を受け、9月30日の第2報でサーバ内の一部ファイルが暗号化されていたことを確認しています。暗号化という最も目立つ被害が起きていながら、それを同社が確認するまでに外部からの連絡が先に立っていたことになります。侵入がいつ始まったのかは公表されておらず、攻撃者が社内にいた期間もまだ分かっていません。

ランサムウェアの攻撃は、侵入してすぐ暗号化するわけではありません。認証情報を奪って入り、権限を広げ、別のサーバへ移り、価値のあるデータを探して外へ送り、最後に暗号化する、という段を踏みます。検知された攻撃の79%はマルウェアを使わないという報告があり、正規の認証情報でログインして管理ツールを使う攻撃は、端末上の挙動だけを見ていても通常の利用と区別がつきません。侵入から横展開の開始までは平均48分という報告もあります。止められる余地があるのは、暗号化よりはるかに手前の段です。痕跡は、ID基盤の認証ログ、サーバのプロセス実行履歴、ファイルサーバのアクセスログ、外向きの通信ログに分かれて残ります。

これらを1か所に集めたうえで、「このアカウントがこの時間に、この共有フォルダを丸ごと読み出して外へ送るのは普段どおりか」を突き合わせる形です。集めただけのログを人手で見切るのは無理があります。AIで横断的に監視して不審な挙動を絞り込み、担当者が確認して遮断するところまでを数分の単位で回せる状態にしておけば、検知から初動までにかかっていた数時間から数日を詰められます。暗号化の前に、あるいはせめて情報が運び出される途中で気づければ、公開される情報の量も、取引先に説明できることの中身も変わってくるはずです(→ ヤグラ AI SOC)。

今後は、次の点が明らかになるか注目されます。

  • 侵入経路と、不正アクセスが始まった時期
  • リークサイトに公開された情報の内容と範囲
  • 個人情報が含まれていたかどうかと、含まれていた場合の対象件数
  • 取引先や顧客の情報、製品の技術情報が対象に含まれるかどうか
  • 業務・生産・業績への影響の有無
  • 詳細な原因調査の結果と再発防止策

同社は社内の関係部門と外部専門機関、捜査機関と連携して調査を進めており、新たに公表すべき事項が判明した場合は速やかに知らせるとしています。調査の進展があり次第、本記事に追記します。

日時内容
2026-10-06第一報を公開(2026年9月24日の第1報から10月2日の第3報までを反映)