つくるAI、AWSアカウントに不正アクセス——約17万6000件のスパム送信の踏み台に
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発生日 | 2026年2月23日未明 |
| 対象組織・業界 | つくるAI(不動産・金融業界向けAIツール提供) |
| 攻撃手法 | AWSアカウントへの不正アクセスとメール送信サービスの悪用 |
| 情報源 | Security NEXT(2026年3月10日) |
不動産や金融業界向けのAIツールを提供するつくるAIは、同社のAWSアカウントが不正アクセスを受け、AWS上のメール送信サービスが悪用されたと公表しました。フランス語圏の個人メールアドレスを中心に、約17万6000件の迷惑メールが同社の送信基盤から送信されたとしています。
同社サービス「VCプロ」のメール送信基盤として利用していたAWS機能が踏み台化された形ですが、データベース内の個人情報や物件情報が外部に流出したことは現時点で確認されていないとしています。
- 2026年2月23日未明: 第三者が不正取得した認証情報を用いてAWSアカウントにアクセスし、メール送信サービスを操作
- 直後: 約17万6000件の迷惑メールがフランス語圏の個人アドレス中心に送信される
- その後: 外部協力のもとシステムのアクセスログを調査
- 2026年3月10日: Security NEXTが公表を報道
- 以降: 顧客・受信者への注意喚起を継続
同社は「第三者が不正に入手したと見られる認証情報が用いられた」と説明していますが、認証情報の入手経路(フィッシング/情報窃取マルウェア/開発リポジトリからの漏えい/内部管理不備 等)については公表されていません。
考えられる原因(推測)
Section titled “考えられる原因(推測)”以下は公表事実から考えられる仮説であり、同社が公表したものではありません。
- AWSアクセスキー/認証情報の漏えいの可能性: クラウドサービスのメール送信機能を踏み台化する典型パターンは、GitHubや設定ファイル・開発端末経由でAWSアクセスキーが漏えいするケースです。攻撃者はキーを取得次第、送信レートが取れるSES等のサービスを標的にすることが知られています
- MFA未設定・広範な権限付与の可能性: IAMアカウントにMFAが設定されていない、または送信サービスに必要以上に広い権限が付与されている場合、キー漏えいがそのまま踏み台化に直結します
- 異常送信量の検知遅れの可能性: 通常運用と大きく乖離した送信量(17万件超)が発生した時点で自動アラートが立てば、この規模までスパムを送信される前に停止できた可能性があります
組織が学ぶべきこと
Section titled “組織が学ぶべきこと”1. クラウド認証情報の管理を「機密管理」の枠で扱う: AWSアクセスキーやAPIトークンは、パスワード以上に静的に長生きし、リポジトリや設定ファイルに書き残されがちです。定期ローテーション・シークレットマネージャ経由の参照・GitHubシークレットスキャンなど、機密情報として管理する仕組みが必要です。
2. IAMには最小権限とMFAを徹底する: 送信サービスへのアクセスに必要な権限だけをスコープし、コンソール操作にはMFAを必須化する。踏み台化されても実行できる操作を最小化することが、単一の認証情報漏えいから業務悪用までの距離を伸ばします。
3. 「異常送信量」を検知する監視をクラウド側で持つ: メール送信サービスは通常時の送信量にパターンがあります。1日で17万件を超えるような送信は自動的に閾値超過アラートを立て、必要に応じて自動停止する仕組みが、被害拡大を止める鍵になります。
ヤグラの視点 — 「同じメールが誰に届いたか」を自動で追える体制を持てるか
Section titled “ヤグラの視点 — 「同じメールが誰に届いたか」を自動で追える体制を持てるか”本件で被害を受けたのは同社のシステムというよりも、17万6000通の迷惑メールを受け取った各所の受信者です。踏み台化型の事案では、加害側になった組織は「自社の顧客・パートナーの誰宛に送信されたのか」「そのうち誰がリンクをクリックしたか」を追う責任を負います。しかし、多くの組織はメール送信基盤のログを取っていても、それを影響範囲の特定に使える形で集約していません。踏み台化を検知した時点で、送信先リストの範囲・二次被害の可能性・注意喚起の宛先を機械的に絞り込める体制がないと、対応は後手に回ります。不審メール検知と影響範囲の自動調査を同一の仕組みで扱えることが、この種の事案の初動速度を決めます。→ PhishAI
認証情報の漏えい経路・追加の悪用範囲について続報が出れば、本記事に追記します。
| 日時 | 内容 |
|---|---|
| 2026-07-30 | 初報を公開(Security NEXT 2026-03-10報道ベース) |