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ピーチ、委託先クラウドのランサムウェア被害で予約情報約189万件が対象に

項目内容
発生・公表日攻撃: 2026年10月7日午前3時40分ごろ / 公表: 10月9日
対象組織・業界Peach Aviation株式会社(ピーチ)/格安航空会社
攻撃手法委託先クラウド「IDCFクラウド」へのランサムウェア攻撃(侵入経路は未公表)
対象システム予約関連メールの配信システム(IDCFクラウド 東日本第1リージョン上)
対象件数約189万件(対象システム内の件数。流出が確認された件数ではない)
対象情報メールアドレス・アルファベット表記の氏名・電話番号・予約番号・旅程内容
情報源Peach「当社が利用するクラウドサービスへの不正アクセスと個人情報の状況について」(2026年10月9日)、Aviation Wire(10月9日)、時事通信(10月9日)、セキュリティ対策Lab(10月9日)、内閣官房国家サイバー統括室「不正アクセスによる漏えい等の事案を踏まえた対応について」(10月9日)、IDCフロンティア「第2報」(10月7日)・「第3報」(10月8日)・「第5報」(10月14日)、ITmedia NEWS(10月7日)、INTERNET Watch(10月9日)

Peach Aviation(ピーチ)は2026年10月9日、予約関連メールの配信に使っているクラウドが不正アクセスを受けたと公表しました。このクラウドは、ソフトバンク子会社のIDCフロンティアが提供する「IDCFクラウド」です。

攻撃によってピーチのメール配信システムが止まり、予約完了時に送る旅程表メールなどが遅れたり届かなかったりしています。なお、航空機の運航には影響していません。

対象のシステムに保存されていた個人情報は、約189万件です。内容はメールアドレス・氏名・電話番号・予約番号・旅程内容の5項目です。ただし同社は、この件数は「漏えいが確認された件数ではない」と説明しています。

現時点で、外部への流出は確認されていません。クレジットカード情報とパスポート情報は、もともと対象のサーバーに保存していなかったとしています。

IDCフロンティアは10月14日の第5報で、被害を受けたゾーンからデータが持ち出された痕跡は確認されなかったと公表しました。同社は、外部への流出はなかったと判断しています。

IDCFクラウドでは、東日本第1リージョンの4つのゾーンが被害を受けました。IDCフロンティアによると、影響は495の企業・自治体に及んでいます。同社は安全のため、ほかのリージョンでも利用者向けの管理画面を止めました。

影響は、IDCFクラウドを直接使う企業だけにとどまりません。IDCFクラウド上で動くサービスを使う企業にも及んでいます。シックス・アパートは、Movable Typeクラウド版のサーバー31台で管理画面と公開サイトが使えなくなったと公表しました。JR東日本も、利用する外部のメール配信サービスが影響を受けたと説明しています。

委託先の被害が複数の組織に広がった事例は、委託先の被害で影響を受けた企業・自治体の一覧にまとめています。

  • 2026年10月7日午前3時40分ごろ: IDCFクラウドの東日本第1リージョンがランサムウェア攻撃を受ける
  • 10月7日午前9時: IDCフロンティアが緊急対策本部を設置し、ソフトバンクと調査・復旧を開始
  • 10月7日以降: ピーチの旅程表メールなどに遅延・不達が発生
  • 10月8日: IDCフロンティアが影響範囲を4ゾーン・495の企業・自治体と公表
  • 10月8日: ピーチが代替サーバーを使い、遅れていたメールの順次送信を開始
  • 10月9日: ピーチがIDCフロンティアから初期調査の報告を受け、公表
  • 10月14日: IDCフロンティアが第5報で、外部への流出はなかったと判断

この報告によると、対象サーバーにつながる通信やアクセス経路は、すでに遮断されています。ピーチはこれをもとに、ほかのシステムへの影響はないと説明しています。同社は国土交通省航空局に報告しており、新たな事実が分かればウェブサイトで知らせるとしています。

一方、IDCフロンティアは第3報で、対象ゾーンのデータは取り出しや復元が難しいとしていました。その後の第5報では、スナップショット機能を使っていた194社はバックアップを取り出せると公表しています。

1. 自社が影響を受けているかを確かめる

Section titled “1. 自社が影響を受けているかを確かめる”

IDCフロンティアは、被害を受けた4ゾーンの利用者に個別に連絡しています。IDCFクラウドを直接契約している企業は、この連絡で影響の有無が分かります。

一方で、JR東日本のように、利用する外部のサービスを通じて影響を受けることもあります。メール配信・CMS・ECなど、顧客情報を預けているサービスの提供元に、IDCFクラウドの東日本第1リージョンを使っているかを問い合わせます。

該当した場合は、預けたデータの写しがどこにあるかも確かめます。IDCフロンティアの第5報では、スナップショット機能を使っていたかどうかで、データを取り出せるかが分かれました。影響の有無と復旧に使えるデータを早く把握できれば、利用者への説明や代替手段の準備を前倒しできます。

本件でピーチは、メール配信に使うサーバーにカード情報とパスポート情報を置いていませんでした。内閣官房国家サイバー統括室も10月9日の注意喚起で、委託先へ提供する個人情報を必要最小限とするよう求めています。外部のサービスに預ける情報は、その機能に必要な項目だけにします。委託先が被害を受けても、影響する項目を限ることができます。

ヤグラの視点 — 使っているサービスの「裏側」を把握する

Section titled “ヤグラの視点 — 使っているサービスの「裏側」を把握する”

国家サイバー統括室はこの注意喚起で、大量の個人情報を扱う事業者などに「サプライチェーンを通じた侵害への対策」の検討も求めています。当サイトの記録でも、1社の被害が利用各社に及ぶ事案が続いています。

本件のように、メール配信などの仕組みが外部のクラウド上で動いていると、そのクラウドへの攻撃は自社の対策の範囲の外で起きます。そこで、顧客情報を預けているサービスごとに、どの事業者のどの基盤で動いているかを平常時から一覧にしておきます。一覧があれば、今回のような公表を見た時点で、連絡を待たずに自社が影響を受けるかを判断できます。該当するサービスとの通信や管理用アカウントのログインを自社側でも見ておけば、自社への広がりも確かめられます。(→ ヤグラ AI SOC)

  • IDCFクラウドへの侵入経路と、攻撃が始まった時期
  • IDCフロンティアの判断を受けた、ピーチの調査結果
  • 遅れていた旅程表メールの送信完了時期
  • 同じ基盤を使うほかの企業の公表内容

判明次第、本記事に追記します。

日時内容
2026-10-13第一報を公開
2026-10-15続報を反映(IDCフロンティア第5報: 外部流出はなかったとの判断、194社のバックアップ取り出し)